そしてとうとう、明日にコンサートが迫った。
初めての全国ツアー、初めての大きいハコでのコンサート、初めての動員数、初めての演出、初めてのソロ、全てが初めて尽くしで俺は思いの外、緊張していた。
今日は身体を休める、ということでリハーサルはなかった。だけど俺には、映画の撮影がある。ただでさえ、コンサートの準備に追われて、撮影を進められていなかった。だから今日は少しでも、それを取り戻す必要があった。
その必死さが伝わったのか、撮影は3シーンほど撮って、早めに終了した。
明日がコンサート初日だということで、映画のスタッフも気を遣ってくれたのかもしれない。
楽屋に戻ると、そこにはユキがいた。
「あ、輝おかえりー。」
「なにやってんだよ。」
「んもー冷たいなー。チケットくれるんでしょ?」
ユキは笑って、俺に、ちょうだいとでも言うように、手を差し出した。
別になんらおかしいことはない。なのに、何だか違和感があった。
けど、俺にはどうでもいいことだな。
「わかったよ。ちょっと待ってろ。」
「わーい。」
自分のカバンの中から、昨日スタッフから貰った、関係者用のチケットを取り出す。
そのとき後ろから、また声がかかった。
「ねえ輝。」
「あ?」
「こないださ、ケイがリハーサル見に行ったんだってね。」
「あー、聞いたのか。」
ケイとユキは、俺と知り合う前からの友達らしく、付き合いが長い。今回の映画で俺よりも絡む回数が多いみたいだし、ユキの耳にそれが入ってることに驚きはなかった。
初めての全国ツアー、初めての大きいハコでのコンサート、初めての動員数、初めての演出、初めてのソロ、全てが初めて尽くしで俺は思いの外、緊張していた。
今日は身体を休める、ということでリハーサルはなかった。だけど俺には、映画の撮影がある。ただでさえ、コンサートの準備に追われて、撮影を進められていなかった。だから今日は少しでも、それを取り戻す必要があった。
その必死さが伝わったのか、撮影は3シーンほど撮って、早めに終了した。
明日がコンサート初日だということで、映画のスタッフも気を遣ってくれたのかもしれない。
楽屋に戻ると、そこにはユキがいた。
「あ、輝おかえりー。」
「なにやってんだよ。」
「んもー冷たいなー。チケットくれるんでしょ?」
ユキは笑って、俺に、ちょうだいとでも言うように、手を差し出した。
別になんらおかしいことはない。なのに、何だか違和感があった。
けど、俺にはどうでもいいことだな。
「わかったよ。ちょっと待ってろ。」
「わーい。」
自分のカバンの中から、昨日スタッフから貰った、関係者用のチケットを取り出す。
そのとき後ろから、また声がかかった。
「ねえ輝。」
「あ?」
「こないださ、ケイがリハーサル見に行ったんだってね。」
「あー、聞いたのか。」
ケイとユキは、俺と知り合う前からの友達らしく、付き合いが長い。今回の映画で俺よりも絡む回数が多いみたいだし、ユキの耳にそれが入ってることに驚きはなかった。

