恋人はトップアイドル

自分の中の苛立ちがどんどん大きくなっていく。

その時、スタッフからリハーサル再開の号令がかけられた。

「あ、じゃああたし行きますね。」

「うん、またね。」

優美はスタッフだから、いち早く持ち場に戻る。ケイはそんな優美に、手を振った。

「・・またねって、何だよ。」

苛立ちが抑え切れずに、ケイにそう聞いた。

「ん?なに輝怒ってんの?」

「優美は期間限定のスタッフだし一般人だ。ケイはもう会うことはねえよ。」

なに、俺はムキになってんだ。

心の中でそうツッコミながらも、俺は不安や戸惑い、苛立ちを隠せなかった。

ケイは同性の俺から見たっていい男だ。そんなケイに、優美に目を付けられたら、困るのは確実だった。

「そうかもしれない。でも、たびたび会いに来れば、芸能人と一般人でも、チャンスはあるかもしれないだろ?」

ケイは自信満々に微笑んだ。

嫌な予感は的中していた。やっぱりケイは、優美を気に入ったんだ。

「なかなか可愛いし、業界にいるお飾りだけの女より、よっぽど優美ちゃんのほうがいい女だよ。俺、気に入ったな。」

ケイはそう続けた。

俺は拳をギュッと握りしめる。
そんなことは、優美がいい女だなんてことは、俺が一番よく知ってる。
相手がケイでも、あいつだけは-------。

俺の心を占めるこの感情は、きっと、嫉妬だ。

初めて知った感情。戸惑うのも当然だった。

それと同時に、やっぱり確信した。

俺はあいつのことが------。