こいつ・・、時々本当に大胆だよな。

「ばれたらどーしよう、とか考えなかったのか?」

「ああ・・、うん、考えたよ。でも、それよりもやりたい!って気持ちが上回ったんだよね。なんかもう、止められない!って感じで。」

声の感じが、その時どれだけ優美が期待に胸を膨らませていたのか、俺に想像させた。

まぁ悪く言えば、向こう見ずな気もするが・・、俺は、こういう気持ちは嫌いじゃない。


思い切って、飛び込む。


俺はそうやって、道を切り開いてきたから。

「まぁでも、実際バレたら大変なことになっちゃうから、そこらへんは十分気使うつもり。」

優美は途端に真剣な顔つきになって、そう続けた。

きっと、「生徒会長」の顔だ。

初めて見るその表情は、俺を少しドギマギさせた。


「あーきーら!」

すると唐突に後ろから声がした。反射的に振り向く。

「ケイ!」

そこには、最近撮ってる映画で共演している人気俳優のケイがいた。

軽く逆立てた柔らかめで長めな茶髪と、それにぴったりと合う、とゆうか、この髪型にはこの顔しかないだろうと思わせる甘いマスク。

事務所の先輩でもあるが、歳は同じで、今若手俳優の中では最も人気を博している。


「どうしたんだよ?」

「今日俺一人映画の撮影あってさ、近くだったから寄ってみた。」

ケイは爽やかに笑みを浮かべた。

ケイは人気があろうがなかろうが流されない。ストイックで、俳優という仕事に愛情を持っていて、なんというか、いい男(ヤツ)だ。