「え?ああ・・健人ね、うん、副生徒会長で、あたしの親友。頼りになるの。今回、あたし学校に内緒でバイトしてるから・・、色々協力してくれてるんだ。」

なるほど、親友・・・。
って、優美はそう思ってても、向こうはわからないんじゃねえか?

そう思ったけど、優美は心底そいつを信頼しきっているようだ。それを見ると、また胸がざわついた。


まぁそんなことより。

「お前、学校に内緒にしてんの?」

「え?・・あ、・・はい。」

優美は合点がいったのか、悪戯を見つかった子供のように意気消沈した顔で頷いた。

「んな落ち込むなよ。なにもばらそうなんて思ってねーから。」

俺は苦笑して、優美の頭を小突く。

「ただ、そこまでして、この仕事やりたかったのか、って思っただけだよ。」

学校に内緒にしてるってことは、生徒会長だからっていう理由もあるだろうが、こういうことをすること自体相当リスクが高いんだろう。

そこまでのリスクを侵して、優美はここへ来たんだ。

そう考えると、今までの優美の頑張りが、より誇らしく思えた。

「あたし、生徒会長だから、高校生活あんま楽しめてなくて。」

すると優美はぽつり、と自分の気持ちを語り出した。

「あ、生徒会自体が嫌なわけじゃないんだけどね。ただ・・、こんな役職につかなければ、もっと色々できただろうなぁとは、思ってたの。だからこれ応募見た時、高校生活最後のチャンスだ!って思って、応募したんだよね。まぁ、受かるなんて思ってなかったけど。」