翌朝、あたしは変に痛む頭を抱えながら、目を覚ました。

昨日は色々考えてたら眠れなかったな・・。

だるい身体を起こして、下のリビングへ向かう。すると、久しぶりにテレビの音が聞こえた。

まさか。

少しだけ騒ぐ胸を抑えながら、リビングのドアを開けると、まるで既視のような感覚に襲われた。

「お母さん・・。」

久しぶりに、この言葉を呟いた。

ダイニングテーブルの椅子に座って、トーストとハムエッグ、サラダを朝食に、片手にはコーヒー、片手には新聞、それが、お母さんの朝のスタイル。これを見たのは、何週間ぶりだろう。

「ああ優美、起きたのね。あんたも食べる?」

お母さんはあたしに気づくと、新聞をたたんで華麗に微笑んだ。

「あ、うん。」

あたしは慌てて頷く。

「じゃあ用意するわね。」

お母さんはそういってキッチンへ向かった。

「・・いつ、帰ったの?」

「昨日の真夜中よ。てゆうか、明け方近くかしら。優美の部屋行ったら、もう寝てたから。」

「そう。仕事、どうだった?」

「まだ何ともいえないわ。でもいい方向には進んでる。優美は?変わったことない?」

その問いに、あたしはうまく答えられなかった。今してるバイトのことを話そうか話さないか、迷ったからだ。

「んー、学校の方はいつも通りだよ。」

考えたあげく、遠回しな言い方になってしまった。

「学校の方は?それ以外に何かあったの?」

さすがお母さん。聞き逃してはくれないか・・。