それがなかったら、きっと今日中に終わることはなかった。

やっぱり、二人の存在はあたしにとって大きすぎることを、再確認した。

「いいわよ、優美はバイトだってしてるんだし、こんな時くらいあたしたちが何かしないとね。」

百合は華麗に微笑んで、そう返してくれた。

「あ、そういえばさ、お前今日学校来た時車から降りてきたろ?誰に送ってもらったんだ?」

健人はハッとしたように、背もたれから背中を起こした。それにびっくりして、あたしも起こす。

「え!?見てたの!?」

「や、見えるだろ、あんな位置にいれば。」

「えー、誰誰?優美、いい人見つかったの?」

百合が楽しそうな顔つきで、机に身を乗り出す。

「や、いい人じゃないけど。」

「じゃあ誰?」

あたしは引き攣り笑いを浮かべながら、二人に嘘をつくのは無理だと思い、本当のことを言った。

「・・あ、輝。」

「輝?」

一瞬その名前に、二人はきょとんとした後、気が付いたのか、

「は!?」

「え!?」

と叫んだ。

「あ、輝って、優美が憧れてた、あの人?」

「確かに高級車だったしなー・・・。」

「なんで?付き合ってるの?」

「ち、違うよ!」

百合の質問に、あたしは首をぶんぶんと振って否定した。

「なーんだ違うのか。面白そうだったのに。」

「お前はなにを狙ってんだよ。」

百合のつまんなさそうな返事に、健人が呆れた顔でツッコんだ。

「でもなんで車に乗せてもらえたの?」

「や、それがね・・。」

あたしは仕方なく、輝にだけ、あたしが高校生だということがバレてしまったことを話した。