「あっ、そういえば、輝仕事は?それに、マネージャーさんとか心配してるんじゃないの?」

突然、優美がハッとしたように、オロオロとした表情でこっちを向いた。

「そこら辺は抜かりねえよ。今日はもう仕事ねえし、お前が着替えてる間に関口には電話入れた。」

・・まぁ正確には、留守電に「直帰する。」って入れただけだが。

「あ、そうなんだ・・、よかったぁー。」

優美はホッとしたように、息をついた。

「・・でも輝、ありがとう。本当に、助かった。」

そして改まったように、小さく頭を下げた。

「いいって、そうゆうの。俺が勝手にしてるだけだろ。」

優美にそんなことさせたくて、やってるわけじゃない。

自分でもよくわかんないまま、ここまでやってるだけだ。

「てゆーか、お前、何で高校生なのに応募してきたわけ?無理矢理すぎねえ?」

ずっと気になっていたことを、俺は聞いてみた。
すると優美はうっと、明らかに言葉に詰まったような顔を見せた。

「まぁ理由はひとつなんだけどさ・・。」

「なんだよ?」

それを聞きてえんだけど?

「本人前にして言いたくないなぁ・・・。」

優美は、歯切れが悪く、ぶつぶつとなにかを呟いている。顔も少しだけ赤い。

てか本人?前にして?

俺のことか?

「俺?」

思わず、そう聞き返してしまった。

「だ、だって・・、輝忘れてない!?あたし、一応Rのファンなんだけど!」

ああ、そうか。

忘れていたわけじゃないが、やっぱりどこか抜けていた。