「ああ。今、生徒会の予算データに入り込んでんだけど・・。」

「やっぱり、ないの?」

そうだとしたら、最悪の事態だ。明日までに、会計書記、生徒会の幹部を全員集めて、一から作成し直すことになる。

「・・・ああ。ない。」


・・・・・、最悪だ。

なんで、こんなことに。

「データちゃんと保存したのに。誰か間違って消したってこと?」

「いや、それはねえだろ。俺とお前と会計しかパスワード知らねえし。」

「今までのは?全部消えてるの?」

「いや、俺らの代だけだ。」

「そっか・・、ならちょっとはマシか・・。」

「とりあえず、お前今から来れるか?」

「うん、行くしかないから行きたいけど・・・、わからない、何時になるか。」

「21時までには?」

時計を見る。今、16時だ。
リハーサルは何時に終わるんだろう。

18時に終わったとしても、ここからじゃ・・。

「19時、とかになるかも。」

「なるべく早く来れねえ?」

健人もだいぶ、イライラしている。
確かに、こんな予測不可能な事態が起こるなんて。

「ムリだよ、さすがに早く帰りたい、なんて言えないでしょ!」

「でもお前がいなきゃどーにもなんねーだろ!」

・・確かに、副会長の健人じゃ意味がない。
生徒会の核とも言える予算決議だけは、会長のあたしが決めないと話にならない。


「とりあえず、会計の田中くん呼んどいて。」

「もう呼んだ。今から来る。」

・・さすが、健人。

「あたしも、なるべく早く行く。それまで健人、過去5年の予算洗い直しといて。」