「働いた後のご飯は格別にうまいって、あれ本当だよね。」

「んだよお前、今更知ったのかよ。」

最近輝は、あたしの突拍子もない話にも、返してくれるようになった。
いまだに反応は冷たいけど、本当にたまにこうして優しく接してくれる。

こういう時は、本当に、スタッフになれてよかった、と思える。

「え?輝、知ってたの?」

「お前な、俺一応てめえより仕事してっから!」

「へー、今ほかに何かやってんの?」

コンサートだけかと思ってた。

あっけらかん、としたあたしの質問に、輝はげんなりとした表情を見せた。

「当たり前だろーが。雑誌に、映画に、ボイトレに、ダンスレッスンに、色々あんだよ。」

「そんなにやってるの!?」

「ばか、これでも少ない方だぜ。新曲出せば歌番組収録もあるし、ドラマと映画がかぶったりもするしな。」

・・考えられない。

淡々と普通のことのように話す輝は、やっぱり凄いんだ。

「・・凄いね。それ、ちゃんと寝れるの?」

「・・まぁ、短くて3時間とか?オフは基本ねえから。」

「オフ?」

「あー、休み。」

あー、休みね。なるほど。業界用語って面白い。

・・・って。

「休みないの!?」

「基本ない。」

「なんで?どうして?」

休みがないなんて、そんなのおかしいよ!

「お前、ほんっとにうるせーな。」

はい、輝のこんなキツイ言葉も最近慣れてきました。
あたしは聞こえない振りで、シュウマイを口に放り込んだ。