・・なんか、か弱そうな女。あんなんで通しスタッフとか平気なのかよ。

そんな心配もヨソに、リハーサルは始まった。

今日は衣装ナシの、音響と曲順、曲間確認。ダンスもないし、今日は立ち位置を見て、スタッフがどのように動けばいいのか、少しずつ見ていく。


正面のメインステージから、真っ直ぐ伸びた花道を歩く。
俺たちの側を同じようにスタッフが歩き、その秒数を確認する。

堂本と笹本が、何かを話しているのが横目に見えた。笹本は必死で紙に何かを書き込んでいる。


「もう少しだけ早く歩くか。5秒くらいの違い。感覚つかんで。」

ステージ構成を担当してるスタッフが指示を出す。曲の流れで、どれくらいの時間でどう動けばいいか、どう移動すればいいか、決まっているものもある。
そうしたほうが、客に綺麗に見えるから。逆に、自由に動き回ってもいい曲もある。


何回か同じ部分を繰り返して、俺たちが感覚を掴んだ所で一旦休憩に入った。

「輝ー。水。」

メインステージに座り込んでいると、優太が水を持ってきた。

「さんきゅ。」

「ねえ輝、あの子さ、輝専属なの?」

「あ?」

水を飲みながら、優太の指差した先を見ると、笹本がいた。

「さあ、知らねえ。」

「ふーん、・・可愛い子だよね。」

「・・優太、お前興味あんのかよ。」

だとしたら、相当趣味悪くね?

「んー、興味はない。でも、一般人にしては可愛いなー、と思うだけ。」

「・・そうか?」

俺は首を傾げた。
まぁ確かに変な顔ではねえけど・・・。