「また少し会えなくなるけど、連絡だけはしろよ?」

あたしは首を縦に振った。

「じゃ、行くか。」






「英恵さん、世話んなったな。」

「何言ってるの、優美ちゃん、またいらしてね。」

「あ、はい。」

英恵さんの笑顔に、心が温まる。輝が大切にしてる人に、認められるのが嬉しいよ。

「じゃあ、また来・・」


ガラッ。


靴もはいて、もう出ようとしていた時だった。
いきなり扉が開いた。

あたしは振り返って・・・・。


「まあ、小夜!」

英恵さんが、すぐさま声を上げた。嬉しそうな声を。

さ、よ・・・?

どこかで、聞いた名前・・。
というか、綺麗な人・・・。

芸能人か何かかな?と思っていると。

「・・輝!!」

その女性の顔が、輝を見て、パッと輝いた。

え?と思った時には、その人は、輝に抱き着いていた。

「輝~!久しぶり!」

「小夜、てめ、いきなり抱き着くなよっ!」

すると輝も、当たり前のように、小夜さんの腰に手を回す。


え・・、何??


いきなりの事に、よくわからない。わからないけど、2人とも知り合いで、英恵さんも知り合いで、親密な感じだってことはわかる。

小夜・・、どっかで聞いたのに・・、思い出せない。

「あんた少しおっきくなった?」

「そりゃなるだろ、いつと比べてんだよ。」

「だって会ってなかったし。ねえ、ちゃんと食べてんの?最近忙しすぎない?」

「食べてるっつーの。少なくとも小夜よりいいヤツ食ってんぞ。」

「あ、生意気ー!」

そう言うと、小夜さんは輝の両頬をつねる。

「なにすんだよっ。」

じゃれあうその姿は・・、まるで・・・。

「本当、2人は仲良しねえ。さすが姉弟ね。」

英恵さんが、その答えをくれた。

姉弟?

「お姉さん!?」

驚いて、声を上げてしまった。