何だか、お母さんと息子、みたい。

「・・優美?てめ、何笑ってんだよ。」

あたしの表情に気づいて、輝が恥ずかしそうに悪態をつく。

「や、ううん、何だか・・嬉しくって。」

「は?」

「輝の、新しい一面見れたみたいで。」

「・・・ったく。」

輝が顔を手でおおう。

「優美さんは本当にかわいらしい方ねえ。何だか安心しちゃったわ。」

英恵さんが改まって、膝の前で両方の3つ指を合わせる。

「末永く、坊ちゃんをよろしくお願い致します。」

「おいおい・・嫁入りかっつーの。」

輝はそんなふうに悪態をついていたけど。
あたしはすごく嬉しくて。

「はいっ。」

笑顔で、そう答えた。






少し話してくる、と部屋を出て行った輝を待つ間、外の景色を見ていた。

美しく手入れされた庭と、高く広い空、向こうに見える山脈。

何だか全てが、今のあたしには理想的だった。

スッと扉の開く音がして、振り向いた。輝が入ってくる。

「待たせたな。帰るか。」

「うん。」

「景色、見てたのか。」

「うん、綺麗・・。こんな景色、なかなか見れないから、目に焼き付けたくて。」

「また来ればいい。ここなら一般人は知らないし、入れないからな。いつでも来れる。」

「そっか・・。そうだね。また、連れて来てくれる?」

輝を見上げると、

「当たり前だろ。」

と、微笑み返してくれた。

「さあ、帰るか。仕事もあるしな。」

「あっ、そうだよね、平気なの?」

すっかり忘れてた。
輝には休みがないのに・・。

「平気だよ。つーか平気じゃなかったらさすがに来れてねえよ。」

「よかったあ・・。」

あたしが輝の仕事の邪魔になるなんて、絶対にそんなの嫌だもの。

「お前を守るためにも、ヘマはしねえ。安心しろよ。」

「・・うん。」

いつも、助けられてばかり。あたしには、何が出来るんだろう・・・。

輝が、あたしの手をとる。