「ん・・・。」

眩しい、と思って、目が覚めた。目をゆっくり開くと、見慣れない天井。顔を少し動かすと、少し開かれた襖から美しい庭園が見えた。

そうだ・・、昨日は・・・。

久しぶりに、こんなに安心して眠った。本当にいい目覚めだ。

「輝・・。」

すぐ隣で眠る、輝の頬を撫でた。本当に、本当に、こんなに素敵な人がすぐ側にいるなんて・・・信じられない気持ちだ。

昨日は、輝に救われた。
輝はいつもそうだ。出会う前も、今も、あたしの心を導いてくれる。

「・・・だいすき・・・。」


願わくば、ずっと一緒にいられますように。


「俺も。」

「・・へ。」

「おはよう、優美。」

驚いて輝を見ると、固く閉じていたはずのまぶたが、ぱっちりと開いた。

「え、え!?起きてたの!?」

「まあな。優美が起きたのと同じくらいに。タヌキ寝入りしといてよかったぜ。かわいーことしてくれたしな。」

「ああもう!」

恥ずかしい!穴あったら入りたい!

「んだよ、そんなに恥ずかしがることじゃねーだろ。」

「・・うう」

「嘘なのか?」

「・・違う。」

「ならいーだろ。」

輝は満足げに笑った。

「腹減ったよな?朝飯頼むか。」








着替えて何分か経つと、すぐに英恵さんがやってきた。

「おはようございます、よく眠れました?」

「ああ。」

「優美さんは?」

「あ、はい。とても。」

「ならよかった。昨日はどこぞの誰かさんが人に軽食頼んでおきながら、何やらお取り込み中みたいで・・、本当、食事をお粗末にしないで頂きたいですわ。」

英恵さんがにっこりと微笑みながら、輝を見る。
・・目が笑ってない。

「あー・・、悪かったよ。仕方ねえだろ、飯より大事なことがあんだよ。」

「それは坊ちゃんにとって、だけの話ではなくて?」

「・・わかった、もうしねえよ。」

それをみながら、あたしは感嘆していた。
こんなふうに、輝を窘められる人がいるんだ・・。