そうだよ。
そうだ、思い出した。

確か去年か-----、あたしが矛盾を感じてた頃の雑誌で、輝がインタビューに答えてた。


[夢を叶える為には、何が必要だと思いますか?]


インタビュアーのその質問に、輝は---。

「・・ただ、ひたすら追いかけること・・・。」

「は?」


小声でそう呟いたあたしに、輝が訝しそうに顔をしかめた。


そうだ、輝はそう言ってた。


--見失いそうでも、どんなに辛くても、絶対捕まえてやるって思う。何を犠牲にしても、何を間違えてても、それだけは間違えない。・・まあ、言い換えれば執着ですけど。(笑)でもそうしないと、忘れてしまうかもしれないし。だから俺は、自分に忍耐力をつけるって意味でも、ひたすら追いかける、ってことを、大事にしてるんです。


あの時、思ったんだ。
絶対に見失わない、絶対に諦めない。
どんなに違う道を行っても、遠回りしても、絶対たどり着くために、今は頑張るんだ。

そう、決めたんだ。


「・・あたし、忘れてた。」

「なにを?」

「・・大事なこと。今は、「ここ」で頑張ってくんだ、って気持ち。忘れてた。」

弱気な気持ちが晴れていく。
代わりに、沸き上がってくる。
強い、強い気持ち。

輝の不思議そうな表情を見つめる。

そうだよ、間違えてない。
何を犠牲にしたって、輝を諦めるなんて出来ない。


「・・今、わかった。生徒会長の歴史なんて、努力したって守れないなら塗り替える。優秀な歴史なんかいらない。学校の皆をまとめられればいいんだもの。推薦だっていらない。自分で頑張って、同じところに行ってみせる。そしたら校長は、後悔すればいい。あたしを生徒会長に任命したこと。
だってそうでしょ。あたしが立ってるんだもの。どんな状況になっても、あたしが生徒会長なんだもの。そこは変わらないなら、あたしは、変わってくものを見失わないようにしていたい。」


輝が、ただ静かにあたしを見つめる。強い瞳で。

これを失わないでいられるなら、夢を失わないでいられるなら、あたしは覚悟を背負うから。