「んー、今回は健人に頑張られちゃったみたいです。」

あたしは苦笑して、先生にそういった。
ちゃんと、笑えてる・・?

「ほら優美もそう言ってんじゃん。」

健人があたしの頭をポンッと叩いた。

「じゃあな先生、先急ぐから。すんません、時間とらせちゃって。」

健人がスタッフさんたちにそう言ってるのがわかった。
だけどどこか、声が遠く聞こえる。

多分、健人があたしの背中を押してないと、ちゃんと歩けない。

「優美ちゃん、いつもはもっと点いいのー?」

「あ・・。」

「そうなんだよ、こいつ頭だけはめちゃくちゃ良くてさ。たく、俺だってかなり頭いいのにこいつにだけは勝てねーの。」

優太くんの質問にとっさに答えられなかった。代わりに健人がそう答えてくれた。

「へーすごいんだな。」

悠さんがそう返す。
だけどあたしにはもう、Rの表情を見てる余裕なんかなかった。

どうしよう。

その思いばかりが頭を巡る。

それからさっきのこと。

輝には、今日は会えない───。








「今日はどうもありがとうございました。」

「いいえ、楽しめていただけたようで何よりですよ。」

「それではこれで──。」

朝見たのと同じ光景を、回らない頭でボーッと見ていた。

健人が時々こっちを見るけど、なにを言いたいかなんて聞かなくてもわかったし、今はうっとうしかった。

「ああそれから、笹本。」

Rの皆が出ようとしていた所で、校長から名前を呼ばれた。

来た────。

「お前はここへ。」

Rの皆が反射的にこちらを見ている。何かまずいことでも?と言いたげな顔だ。

「鈴木、Rの皆さんをお連れして。」

「・・・・はい。・・優美、あとでな。」

「うん。」

せめて健人を安心させようと、微笑(わら)った。
それを見て、健人たちは出ていった。

輝の顔は・・見れなかった。



校長と残されるのは怖い。いやもっと──、後輩たちの反応も怖い。


でもわかっていることは、私は生徒会長として、してはならない失態をしたということだけ。