『・・ああ、あのイケすかねー奴か。』

健人は合点がいったらしい。
てゆうか。

「輝はかっこいいんです!」

『はいはい、で?』

むー・・、絶対わかってない・・。

「Rがね、春から全国ツアーやるんだけどね?」

『へー。』

「そのスタッフをファンクラブ会員限定で募集するんだって!」

『ほー。』

「だから、どうしてもそのぉ・・。」

『輝とやらに会いたくて応募してしまったと?』

「・・・はい。」

受話器の向こうから大きな大きなため息が一つ聞こえた。

『つかお前それ、高校生とかやれんのかよ?』

「いや、うん、それがね・・。」

『何だよ、早く言え。』

「サバ読んじゃった。」

『はぁ!!?』

また不意打ちで右耳の鼓膜に大きな衝撃が走った。

『お前なぁ、猫踏んじゃった、みたいなテンションで言うんじゃねーよ!』

わぁ、健人、ツッコミうまい。

『サバ読んだ、ってことは高校生ダメなんだろ!?』

「うん。」

『だったらそこで諦めろ!素直に、もう1億キロメートルくらい身引け!』

・・距離関係ある?

余計な疑問を覚えつつ、私は反論した。

「そんな素直に身引けるほどの気持ちじゃないの!」

『コンサートとか行けば会えるじゃねえか・・。』

「それじゃ意味ないの。Rを支えてみたいんだよ!」

私の熱意が少し伝わったのか、健人は少し押し黙った。

『・・てかそれ、当たるわけ?』

「え?」

『だってRって、かなり人気なんだろ?』

「うん。当たり前。」

『なら、お前が当たる確率とか限りなく低いよな?』