怖くねーっつーの。

「仕方ねーな。」

俺は代わりにベッドを出て、時計を止めた。
振り返ると、優美はこちらを見ないように背中を向けている。

・・ちょっと傷つくんですケド。


「ゆみー?ゆーみちゃん?」

俺はわざと、優美の身体を跨いで、ベッドへ戻った。
優美は真っ赤な顔をしたまま、俺の呼びかけに怖ず怖ずと目を合わせる。

・・・可愛い。

男の性が容赦なく目覚める。
なんせ好きな女の裸目の前にして、しかも朝。
俺はまだ若い。

我慢なんかできるか。


そう思ったら最後。
布団をはいで、優美の腰を抱き寄せて、キスしてた。

「んうっ、んんーっ。」

優美の声が、驚いてる。
でも仕方ないだろ。


好きなんだよ。
触りてーの。


どんどんと俺の胸板を叩く優美の腕を、片方の手で掴んで止めた。

「ん、は・・っ。」

優美の声がよくなってきた。
それを聞いて、俺の理性も、どんどんと脆くなる。

優美は昨日の今日だ。
身体がつらいはず。
わかってる。わかってるけど・・・・・。

「あっ、きら・・!」

泣きそうな声が、余計に俺を駆り立てる。

「優美・・っ・・。」

お前だと余裕がねーよ。
でも一応、最後の理性を総動員させて、聞いてみた。

「優美、身体は・・?」

「はあ・・っ。つ、辛いよ・・!」

優美は涙目で俺を睨む。

「だよな・・・。」

わかりきってた答えに、俺はガックシと肩を落とした。

「だ、だ、大体・・あ、あああ朝からなんて・・!」

「あーごめんごめん。」

優美はもはやリンゴ状態。しかもお得意のテンパり状態。

俺は苦笑して、優美を抱きしめた。

「・・優美、キスだけなら、いい?」

それでも、諦めきれない。
せめて、せめてキスだけでもしたい。
おでこをくっつけ合わせて、そう聞いた。

「・・・やだって言っても、するんでしょ?」

「言わせるかよそんなの。」

優美の、言葉とは裏腹な、優しい声に、俺はそう返して、またキスをした。