「あ、きら・・。」

バクバクと、心臓がうるさい。あたしの頬を繰り返し撫でる輝の手が、熱い。それともあたしが熱いの?

身体の芯に、火が灯ったような。そんな熱さ。

どうしよう。正直怖い。でも応えたい。抱きしめてほしい。離れたくない。

「優美・・嫌なら、我慢する。だから・・・、正直に、聞かせてくれ。」

輝が、あたしの思いを量ったかのように、そう言った。

「あ、あたし・・。」

緊張で、声が震える。
恥ずかしい。

「ん?」

でも、輝が優しく微笑むから。この笑顔を、もう手放したくないから。

だから、素直になりたい。

「あたし・・っ、は、はじめて・・だよ?」

こんなこと言う日が来るなんて。恥ずかしさでどうにかなりそうだけど、あたしは輝を見上げた。
その瞬間、輝が顔をバッと背ける。


え・・・?


背筋に、ひんやりとした汗が伝った。ひ、引かれちゃったのかな・・??


「あ、輝・・っ。」

不安になって、名前を呼んだ。
初めて、なんて、やっぱり面倒くさいの?前に、そう話してるクラスの男子を、見かけたことがある。
やっぱり、そういうものなの?

でも。


ギュ・・・。


輝は、一層強く、あたしを抱きしめてきた。すると耳元に、柔らかくて温かい感触が、一瞬あった。
「ひゃ・・っ。」

びっくりして、声をあげる。


え?え?な、なに?なんなの?

わかんなくて、泣きそうになる。

「優美。頼むから、誰にもそんな顔みせんな。」

え・・?

いつもより、掠れて甘い輝の声が、耳にダイレクトに響く。

輝が、あたしの首元に埋めていた顔を上げた。

少し・・、赤くなってる・・・??

「けっこー我慢してんだ。今も。煽るなよ。」

そう苦笑した輝が、とてつもなくセクシーで、かっこよかった。

こんな人が、こんなにかっこいい人が、あたしを求めてくれてるの・・?