「・・わかってるっつーの。」

そう甘く言われたのと同時に、甘いキスが降ってきた。

「・・んっ・・・。」

ぬるりと、舌が入ってくる。
まだその感覚には慣れなくて、輝がそうするたび、あたしはいつも頭がぼうっとする。

どんどん息が上がってくる。
腰に回された輝の左腕の力が、強くなった。

「・・は、・・ねえ、コーヒー・・っ・・。」

「・・はあ・・、いいよ・・そんなもん。喋んな。」

囁かれた言葉に、熱を感じる。求められている。

そのことに、喜びを覚えた。

輝に抱きしめられると、安心する。輝にキスされると、とても幸せな気持ちになる。
これ以上されたら・・・、あたしはどうなっちゃうんだろう。

「・・ゆみ、ゆみ・・。」

あたしの唇から離れた輝の唇が、顔全体に降ってくる。
目、鼻、おでこ、耳の辺り。

恥ずかしくて、幸せで、くすぐったい。

そのうち、自分の胸に違和感を感じた。

え・・・・??

輝の手の感触がある。
そのおかげで、ぼうっとしていた頭が、一気に冴えた。


ど、どうしよう・・っ・・。

「あ、輝・・っ・・。」

輝を止めようと、輝の胸板に手を置く。でも輝が止まる気配はない。

好きだけど、好きだけど・・・っ・・。
心の準備ができないよ・・!


すると、輝が何かに気が付いたかのように、その顔をあげた。右手があたしの頬へと映る。

「輝・・?」

止めて、くれたの?

目の前の、輝の瞳を見つめる。その瞬間、どくん、と胸が高鳴った。

それまでのドキドキとは、はるかに違う。もっと、性急で、熱くて、甘くて、痛い、ドキドキ────。


「優美・・、俺はお前を、大事にしたい。でも、無理なんだ。こんなことするつもりじゃなかった。だけど今・・もう、すげえお前が欲しい。」


ドラマでも、見てるのかと思った。
憧れて、憧れて憧れて、好きで好きで好きで仕方ない人が、あたしを欲しいって、言ってる。

わかる。瞳が、真実を教えてくれる。