「・・輝。」

なんだろう、一目見ただけなのに、あたしはそれだけで、もう全てが終わったかのように安心していた。
久しぶりに会えたことが嬉しくて、頬が緩んだ。

輝がこっちに歩いてくる。あたしも立ち上がった。

「輝、お疲れ・・っ」

最後まで言えなかった。グイッと腕を引っ張られると、そのまま抱き留められて、輝ごとソファーに沈んだ。

輝がソファーに座り、あたしが膝の上に乗るような形になった。恥ずかしいのに、嬉しくて、ギュッと輝の背中を抱きしめた。

「はぁー・・、やっと会えた・・・。たく、あんな顔すんなよな・・。」

「あ、んな顔って?」

耳元で喋る輝の息が、くすぐったい。

「・・自覚ねーのか。・・俺に会えて、嬉しそうな顔してたぞ。」

「・・だだだ、だって!それは、その・・っ」

輝に指摘されて、思わず恥ずかしくなる。

「ふっ、わかったわかった。」

輝はよしよしとでも言うように、あたしの頭を撫でた。

「・・・ねぇ、輝。あたし・・、なにをすればいい?」

「・・なにが?」

「社長さんに、あたしは会うんでしょ?あたしのこと、高校生だって、言うつもりなんだよね?」

輝の胸から身体を起こして、向き合った。輝はあたしの腰から腕を離す気配はない。そのまま、輝の目をじっと見つめ返した。

「・・まあ、嘘ついても仕方ねーか。・・ああ、言う。というか、言ってもらう。」

「あたしが、自分で言うのね。」

何となく、わかっていたこと。でも、それが妥当だと感じた。

「それをしてくれれば、後は俺がどうにかする。優美は黙って見ててくれ。」

「・・わかった。」

「俺が、なにを言おうと、なにをしようと、だ。」

「・・大丈夫、信じてるから。」

輝の力強い瞳を見ながら、あたしはそういった。