「はぁ・・っ・・」

やっと唇を離すと、優美は赤い顔で苦しそうに息をはいた。

その慣れてない感じが、俺には嬉しいことだったりする。

「鼻で息吸えよな。」

わざとからかってみた。

「む、無理だよ・・!」

優美は少し怒ったように、潤んだ目で俺を睨んだ。


・・全然怖くねえ。むしろ・・・。

「きゃ!?」

自分の欲望を抑えきれない。俺は素早く優美を抱き上げた。その行動に驚いて、優美が声を上げる。

「あ、輝っ?」

戸惑う声には答えずに、寝室へと俺は向かった。一人では広すぎるベッドへと、優美をゆっくり下ろす。

「え・・、あ、きら・・?」

状況がよくわからないのか、少し怯えたような目を向ける優美が、とてつもなく可愛い。

「・・お前、反則。」

優美の肩をトン、と押すと、優美は後ろへ倒れこんだ。その上に、またがる。

なにが起こっているのか、よくわからない様子の優美は、ただ俺を見つめている。横に広がった漆黒の長い髪が、綺麗に見えた。

ここまでするつもりはなかった。でも自分でも、止められない。

優美を今すぐ、腕の中に閉じ込めたい。

そんな激情が、今にも溢れそうになっていた。

「そんな目で見んなよ・・。止まらなくなるだろ。」

優美の頬を、右手の指で撫でる。熱が伝わる。

「・・止めなくて、いい?」

鼻と鼻がつきそうなほど、顔を近づけた。優美はもう、キャパを越えているのか、トロンとした目で俺を見つめ返す。


もう、いい。止められねえ・・。


そう思い、キスをしようとした時。


ブーッ、ブーッ、ブーッ、


携帯のバイブ音が聞こえた。