「そこまでだユキ。」

その時、ユキさんの手が両肩から離れたかと思ったら、ユキさんの後ろに輝が立っていた。

「もう、痛い!」

ユキさんの肩に、輝の手が乗っている。

それを見て、また胸がモヤモヤした。

・・なんなんだろう、コレ。

「お前素人にまでちょっかい出すなよ。」

「いいじゃない!ね、この子が優美ちゃんでしょ?」

「ああ。そうだけど?」

「一度会ってみたかったんだよね。嬉しい!」

ユキさんの笑顔に、思わず胸がキュンとした。

本当に、綺麗だなぁ・・。

「あ、ありがとうございます。」

こんな有名女優に、そんなふうに言ってもらえるなんて。

「こいつの勝手だから礼なんか言わないでいいぜ。」

輝がそう言ったかと思うと、ユキさんは輝の肩を叩いた。

「ちょっと輝、あんた要らないこと言わないでくれる!?」

ぷくっと膨れた頬、無邪気な人柄、何だか随分イメージとは違うひとだなぁ。

顔立ちが綺麗なせいか、もっとおとなしいひとなのかと思っていた。

それにしても・・、二人が並ぶと、すごく目立つ。

二人とも背が高いし、バランスがちょうどいい。お似合いカップルみたいだ。

・・疎外感、感じるなぁ。


「仲、良いんですね。」

そんな言葉を、気付いたらこぼしていた。

「仲良くなんかねーよ。」

輝が無愛想に言い放つ。

「あ、ひどい!もう何年もの付き合いだっていうのに!」

「お前なぁ、誤解されるような言い方すんなよ。」

「なに、誤解されちゃまずいの?」

「まずいに決まってんだろうが!」

その会話に何だか背筋が冷えた。


まさか。


コレは、女の勘。


違うかもしれない。でも。