『だからといって、最初から家に連れ込むのはどうかと思うがな。』

「違えよ。今日に限って車に追われて、優美の家に送ってくわけにいかなくなったんだ。」

『なに?もう車はひいたのか?』

「ああ、さっきコンシェルジュに確認した。でもまだ近くうろついてるかもしれねえから、俺が送るわけにいかねえし。」

『・・たく、もう少し考えて行動しろ。お前は。』


・・何も言い返せねえ。

堂本の呆れた声に、黙るしかなかった。

『わかった、行くよ。・・あとそれから、優美ちゃんはいい子なんだから、傷つけるなよ。』

「わかってるよ。」

『そのためには、絶対バレるな。いいな。』

「・・・ああ。」

堂本の気持ちが伝わってくる。
素直に有り難いと思った。
堂本がいてくれるおかげで、どれだけ守られているかわからない。

「・・ありがとな。」

『今更だ。あと、10分後には行く。』

「わかった。」

電話を切った。

堂本は俺のマンションの近くに住んでいる。
俺に何かあった時、すぐに対応できるように、だ。

まさかこんな形でも助けられるとは。

本当にもう、頭が上がらねえな・・。

「優美。」

俺は優美の元へ戻る。

「あ、電話終わったの?」

「ああ、これから堂本が来る。」

「堂本さん?どうして?」

「お前を家まで、送ってもらう。」

「え!?いいよそんなの!あたし本当に一人で・・」

優美はそれを聞いて、驚いた後申し訳なさそうに両手をぶんぶんと振った。

「だから駄目だっつってんだろ。」

「だけどそんな・・・。って、あれ?堂本さん・・あたしがここにいるの・・知ってるの?」

優美はふと、何かに気がついて、そう呟いた。