「輝はやっぱり、すごいね。」

「?なにがだよ?」

「あたしにとって、一番の特効薬みたい。」

なんだか、あまりにも嬉しそうに、違和感なくそんなことを言うから戸惑った。

と、いうか・・・。

「・・可愛いすぎんだろ。」

そう小さく呟いて、優美の肩に頭を乗せた。

ジワジワと、胸の奥が温かくなる。

こんな幸せ、今まで知らなかった。

「え?え?輝?眠くなったの?」

今度は優美が戸惑っている。
なんだかおかしくて、ふっと笑った。

顔を上げる。

「・・お前ん家、今日は誰もいねえんだ?」

「う、うん。」

顔が近いせいか、優美の目がキョドっている。

「帰ってくる日とか決まってんの?」

「ううん。特には、決まってないかな。」

「ふーん・・・。」

「どしたの?」

優美はキョトンとした顔で、俺にそう尋ねる。


「お前さ・・、家、泊まってく?」


そう言ったと同時に、優美がピキンと固まるのがわかった。


・・人間って、本当に固まんだな。

腕の中で、まさしく固まっている優美を見ながら、そんなことを思った。

「冗談だっつの・・。」

俺はそう呟く。

確かに、ここに優美がいたらどんだけ毎日楽しいか知れない。側に置いときたいけど・・。


今はな・・・。


「ゆーみ。優美さん。」

右手でペチペチと、優美の柔らかい頬を軽く叩く。
優美はまさしく覚醒したかのように、身体をビクッと動かした。

「冗談だよ。」

「じょ、じょ、冗談て・・!いいい言っていい冗談とわ、悪い冗談が・・」

「あーわかったわかった、ごめんごめん。」