「最初はね、寂しかったんだけど・・。お母さんが仕事してくれなきゃ、あたし食べていけないし。お母さんには、感謝してるんだ。」

でも、そう言って笑った優美の顔は、あまりにも寂しそうだった。

「・・それでいいのか?」

「え?」

「ごまかすなよ。寂しいなら、寂しいって言えよ。俺が、ちゃんと受け止めてやるから。」

一人で悩んでほしくない。
俺に頼ってほしい。

じゃないと、何のために側にいるのか、わかんねえだろ。

一瞬、優美の瞳が泣き出しそうに歪んだ。その表情は、俺の胸を痛めるには十分で、見ていたくなくて、俺は優美を抱きしめた。

「・・・抱きしめててやるから。悲しい時、寂しい時、俺がこうやって、必ずお前を抱きしめるから。だから、そんな顔すんな・・。」

「・・あ、きら・・。」

肩が、熱い。多分、優美の涙だ。声は上げないなんて、どこまで強い女なんだよ。

どうしようもなく愛しくて、もっと近づきたくて、さらにギュッと抱き寄せた。


お前には、俺がいる。


そう伝わるように、願って。














「なんか、嫌なこと聞いたみたいで・・悪かった。」

優美が落ち着いた後、俺はゆっくり腕の力を抜いて、代わりに優美の腰を軽く抱きしめた。

泣かせるくらいなら、聞くんじゃなかった。

そう、後悔していた。

「ううん、いいの。まさか、自分でも泣くなんて思ってなかったし・・。なんか、スッキリした。」

優美は赤くなった鼻を啜りながら、恥ずかしそうにそう返した。