ここが・・輝の住んでるマンション・・・。

やっと輝のマンションの駐車場まで来ると、もう記者の車は着いてきていなかった。
どうやらセキュリティシステムで、住人じゃない人の車は中には入れないらしい。

駐車場から中に入ると、そこには一流ホテルのようなロビーが広がっていた。コンシェルジュがいて、輝が部屋のキーを受け取る。どうやらいつも、ここに預けて外出するらしい。

「優美、こっち。」

何もかもが身に余るような世界だと思いながら、あたしは輝の後に着いていった。









「疲れたろ。とりあえず、適当に座って。今なんか飲み物持ってくっから。」

部屋に入ると、そこにはまた一人では広すぎるほどのリビングとダイニングがあった。

リビングにはテレビとテーブル、ソファーしか置いておらず、何だか輝らしいな、なんて思った。

あたしはいたたまれない感じがしながらも、ソファーの隅にちょこんと腰掛ける。


ここが・・、輝の部屋・・・。


改めて考えると、何だか凄い状況になっている。
輝のスタッフになってから2週間程度・・。前のあたしでは考えられないくらい、今のあたしは輝の近くにいる。

その事実が、未だに夢のように感じられる。
と同時に、少しだけ恐怖心もあった。


このままじゃ・・、もっと欲張りになっちゃいそうだよ・・・。


輝のスタッフとして、近くで輝を見れるだけでよかったのに。
今のあたしは、それだけでは満足できなくなっていた。


・・あたしは一般人。輝みたいな素敵な人とは、釣り合わないんだから。


そう自分に、言い聞かせた。