ふ、二人で・・・?

あたしはその意味もよく分からないまま、だけど緊張からか、期待からか、顔を熱くさせた。

ふと車に設置されているデジタル時計の時刻が目に入った。

もう22時半・・・。

「あーでも、もう22時半なのか・・・。」

その時、輝があたしが気づいたことと全く同じことを口にした。

「・・お前、疲れたろ?・・早く帰した方がいいよな。」

どことなく残念そうに聞こえるその声に、あたしは胸のドキドキが止まらない。


さっきのこと・・聞いてみようかな・・・。


膝上に置いていた両手を、あたしはギュッと握りしめた。


「あ、あき・・。」

「と、待った。」

あたしが何か言いかけようとした時、さっきとは打って変わって、輝から厳しい声が飛んだ。

「優美、ちょっと頭下げられるか?」

輝は真表情のまま、前を向いて、だけど厳しい空気を絶やさない。

え・・なに?

よくわからないまま、輝の言葉に従った。

「優美、落ち着いて聞けよ。」

「う、うん。」

背中を屈めているせいで、体制が辛い。だけどあたしは精一杯、輝の声に耳を傾けた。

「後ろから、記者の車が追いかけてきてる。」

「記者の車・・?」

「・・週刊誌みたいなゲス雑誌やってるヤツラだよ。」

輝の苛立った返事に、息が止まった。


え、マスコミ・・・ってこと?


尋常じゃない不安があたしを襲う。

もし、バレたら・・。

バイトを始める前、健人と話したことを思い出した。

冷や汗が流れる。


怖い。


目をギュッと閉じた。

その時。