ダンデライオン~春、キミに恋をする~



「来てるぞ」





「…………」



え?




「き、来てるのっ!!!?」



机に両手をついて、ガバッと立ち上がる。

その勢いで、椅子が後ろへガターンと倒れた。


ザワザワしていた教室が、シンとなる。
みんなが立ち上がって目を見開いているあたしに注目した。


そんなあたしにショウちゃんは、まるで少年のような笑顔でニヤリ。



「おう」



うそ……

うそ……



「シィ!」


シンと静まり返った教室で、大きな声がした。

ハッとして声のした方を振り返る。


見ると、なぜか今にも泣きだしそうな沙耶がいて。
唇をキュッと結んでコクンと頷いた。


……沙耶……。


乱雑に置かれてる机をヨロヨロと抜ける。

いつしかあたしは強く床を蹴って、教室を飛び出した。



「また罰ゲームだって言っとけよぉ」



背中にショウちゃんの言葉を受けながら。