ダンデライオン~春、キミに恋をする~



沙耶はすぐにあたしの異変に気付いて。
そして、音楽室にいる響にも気付く。



「……シィ?」


大丈夫?って覗き込まれ、あたしは沙耶の手を反射的に掴んだ。



「んーん、ごめんね」

「え?」

「い、行こ? あたしお腹すいちゃった」



そう言って、グイグイと沙耶の腕を引っ張る。

離れてく音楽室。

その間もずっと響の視線を背中に感じていたのに、振り返る事すら出来なかった。


ドックンドックン


校門を出てS坂を下る。
途中まで来たところで、ようやくその足はとまった。