ダンデライオン~春、キミに恋をする~


窓枠に手をついて、外を眺めたショウちゃん。

真上で声がする。
心臓は、もう喉から飛び出そうだ。


「成田、ほんとにそれで後悔しないのか?ちゃんとお兄さんと……」



……え?

お兄さん?

思わず顔を上げそうになる。


「―――先生」


何か言いかけたショウちゃんの声を遮って、響のため息まじりの声がした。


「そーいうの、大きなお世話って言うんですよ」


面倒くさそうな声色。
でも、その中に、ちょっとだけ照れ隠しの部分があって。

響のその言葉に、先生は振り返って、窓にもたれるように腕を組んだ。



「あのなぁ、俺はお前の担任だぞ。お世話するのが当たり前だ」

「……イヤ、俺の事いいんで。 森崎先生のお世話して下さい」


えっ?

泉先生?

なんで?


今度こそ呆れたように言った響。
ショウちゃんは「それなんだよなぁ」とポリポリ頭を掻いちゃってる。


ポカーン。


もう隠れるとかそんなの考えてなくて、ショウちゃんの後姿を見上げていた。



まったく話が見えない。