ダンデライオン~春、キミに恋をする~


きれい。
なんて、キレイなんだろう。


ピアノを弾くその姿が儚くて、響の輪郭がぼやけて見えた。


視界がにじむ。

喉の奥が痛い

瞼の裏側が熱い


そっと瞬きをすると、涙が頬を伝わって
青々と茂る芝生の上にポタリと落ちた。



響……すごい。
凄すぎるよ……。


音楽に詳しくないけど、響の演奏はあたしの心を熱くさせる。



心が震えるよ……。





窓枠に両手をついて、その姿を見つめていると、心地よいメロディを奏でていた手がピタリと止み、鍵盤から響の指が離れた。






―――!