ダンデライオン~春、キミに恋をする~


それからようやく境内を抜けたあたし達。
ちゃっかり甘酒をもらって、神社の外の石塚に持たれながら並んでそれを飲んだ。


「椎菜、真剣だったね」

「……どーせ、百面相だったって言いたいんでしょ」


いじけながら甘酒を口に含む。

うえ~

あったまるかもしれないけど……あたし、甘酒って苦手。

なんかブツブツしたのが入ってるしぃ
甘ったるいしぃ


無理矢理喉に流し込むと、響はあたしの手からカップを抜き取った。


え?


「いや? 眉間にシワよせてずーっと難しい顔してた」


響は残ってた甘酒をかわりに飲み干すと、その指があたしの額に……。

さらにグリグリ押されて、思わず目を閉じる。


「ほら。ここに深ーいシワ」

「えっうそ! そんなに?」


擦られた場所に慌てて手をやる。
手袋してるからシワなんてわかんないけど、とにかく響から隠したかった。

はははって笑った響が体を折り曲げてあたしの顔を覗き込んできた。



「ねえ、何をそんなにお願いしてたの?」

「え?」



ドキン


ち、近い……。