ダンデライオン~春、キミに恋をする~


「すごい人だね」


目の前の人並みをみて、ちょっとだけ怯む。
躊躇してるあたしの手を、響は当たり前みたいに繋いだ。



「今度ははぐれんなよ?」


そう言ってニヤリ。


今度って……。


あ、そうだ。
あの七夕祭りの時も、はぐれるなって言われてて、はぐれちゃったんだっけ。


「大丈夫だよっ」

「っはは。んじゃゴー」


おどけて見せる響に、さらにドキドキしちゃう。
境内に向かう響は、ギュッと手に力を込めた。


ああ、もう。
恥ずかしい……。

響にもらったあの彦星のこけし。
ちゃんと机に飾ってあるよ?

真夜中見ると不気味だけど、平気。
響だって思うようにしてるから。



本堂にたどり着くのに、ずいぶん時間かかっちゃった。

距離でいうと、鳥居からこの本堂まで100メートルもない。

お賽銭を投げいれて、響と並んで両手を合わせた。


「……」



神様……

神様……どうか。


どうか………。


パチンパチンと手をたたいて、ペコリと頭を下げた。



よし。

えーっと響は。


ドキーーンッ!

見上げるとニコニコした響があたしを見下ろしてたもんだから、ビックリして思わず飛び跳ねちゃった。