ダンデライオン~春、キミに恋をする~


「……響……」


1週間ぶりに聞くその声に、ものすごく動揺してる。

なんかあやふやな感じで別れたままだったし……。

でも。
そうやって意識してるのはあたしだけで。
携帯越しに聞こえてきたのは、いつも通り、のんびりしたものだった。


「椎菜、これから時間ある?」

「えっ?」

「初詣行こ」












晴着とか着ればよかったかな……。
でも、急だったから、そんな時間なかったし。


って、そんな事どうだっていいっつの!
あたしが着物着てるか着てないかなんて、響には関係ないのに。

はあ……。

肩にかけていたショルダーバックの紐をギュッと握りしめて、あたしは顔を上げた。


待ち合わせたのは、うちから一番近い、小さな神社だった。

小さいと言っても、それなりに屋台とかも出てるし、元旦の今日は甘酒サービスもあって近所の人で狭い境内は所狭しと人がごった返していた。


……えっと。
この鳥居のそばで待ち合わせなんだけど……。