「イイにおい」

「あ」


顔を出した瞬間、お母さんは「お皿とって。深いヤツね」ってすかさずあたしを使う。

お皿をテーブルに置いて、お鍋の中を覗き込むと、トマトとひき肉がグツグツ煮えていた。


え?
これって……ミートソース……。
元旦に、イタリアンってさすがうちの母。

ミートスパ好きだけど。

「ね、こんなに作ってカケル達帰ってくるの?」

「バカね。冷凍しとけばいつでも食べれるの。
あ、そう言えばイツキ先生がミートパスタが好きって言ってたからまたご馳走しなくちゃね」

「……」



ビックリした。
今、完璧油断してた。


「それにしても、イツキ先生と響君が兄弟だなんてビックリしたわぁ。椎菜、アンタ知ってたの?」

「え?」


ああ、もう、お母さん……あたしにその話題振らないで!