「……。
過剰な事はよくないけどさ……でも何も言わないんじゃ、相手に分かってもらえないぞ? 相手の気持ちを尊重するのって、大事だけど。言葉にしなきゃ、わかんねー事もあんだって」
「わかってるよっ!
そんなのわかってる!何も知らないのに、知ったような事言わないでっ」
「……」
冷たい。
握りしめた手、冷たかったって今気付いた。
ジッと手元を睨んで、下唇を噛みしめた。
「……椎菜……」
なに? あたしが、何も言ってないって言いたいの?
言いたい事言えてないって?
んーん。
違う。 あたしはもう、十分すぎるくらい響に気持ち押し付けてる。
これ以上は、窮屈しかない。
あたしに出来ることは、もうないんだよ……。
「……っ、うぅ……」
「……ごめん、俺……余計な事言った」
もう遅いよぉ
見ないフリしてたのに。
大野健吾は、あたしが目を逸らしてた気持ちを
丸裸にしちゃったんだよ……。



