ダンデライオン~春、キミに恋をする~



いきなりの事に、思わずビクリと飛び跳ねた。

なぜかジッとあたしの口元を見てる響の指が、そっと唇をなぞる。



ドキーンって心臓も飛び跳ねて、ついでに体はガチガチに固まってしまった。



「……」

「……」



長い前髪が、瞬きするたびに揺れる。
伏し目がちのその瞳が、見開いたままのあたしの瞳を捕えた。


その中の自分と目が合いそうで、恥ずかしくてキュッと目を閉じた。


ドクンドクンってどんどん加速する鼓動についていけなくて、目眩がしそう。


なに?

き、キスされるの?

なんで?


でも。
いつまでたっても唇が重なる事はなくて。

薄目を開けて確認する。





唇に、と言うか口元を何度も擦る響の指。



「……」

「砂糖ついてんだけど、とれない」



えっ

ささ、砂糖っっ!!!?