ダンデライオン~春、キミに恋をする~



「っクシュ!」


うー、さむっ!

最近寒い日続いてるから、風邪気味なのかな……。



「ははっ。椎菜のくしゃみって小動物みたい」



なっ、なにそれっ!

ニコニコ笑ってる響が、またそんな事を言う。


笑顔が……笑顔がね?

ヤバいんです。


なんてゆーか。

油断しまくりと言うか。

響の家だからかなあ……。
まるで子供みたいに無邪気に笑うから、お腹の底がキューンってなる。



「褒めてるの? それ」

「可愛いって意味だよ。あれ、不満?」

「!」



両手で頬杖をついて、小首を傾げた響。
その動きに合わせて、ふわりと柔らかな髪が揺れる。

それから片眉をクイッと持ち上げると、ニヤリと笑った。



ドキンっ!



……落ち着け。
響は意味なく言ってるんだよ。

そうだよ。

今日、天気イイね!みたいな感じで挨拶みたいに言ってるんだから。

ブルブルと頭を振って、残りの砂糖をふるいにかけた。




よしっと。

小さいけど結構本格的なブッシュド・ノエルが完成した。


あとは買ってきたチキンとシャンメリーで……。



「椎菜」



時計を見上げていたあたしの頬にいきなり触れた響の手。




えっ

な、なにっ?