えっと、あとは生クリームをぉ。
えへへ。
実はあたしってこう見えて、お菓子作りは得意なんだよね。
お料理とかってしないんだけど。
あんまり時間もかからずに、目の前に美味しそうなロールケーキが出来上がっていた。
「へえ。椎菜手馴れてる。いいお嫁さんになるね」
「えっ」
ふーんって感じで感心しきってる響は、またもそんな言葉をあたしに投げてよこす。
お嫁さんって……
お嫁さんって!!!
うっ嬉しいよぉ。
真っ赤になった顔がバレないようにクリームを塗る事に集中するあたし。
チラリと響を見上げると、さっきの言葉の重大さなんて全然気にしないで、トッピングのサンタを眺めてる。
もぉ、いきなり爆弾ぶち込まないで欲しい。
ビックリしすぎて失敗しちゃったらどぉするのよー。
ジトっと目を細めると、「ん?」って首を傾げた響。
……はあ。
そんなセリフをサラッと言えちゃうなんて、無意識なんだろうけど、本当にずるい。
だってさ。
ただでさえ、最近心臓が大忙しなのに、これ以上暴れさせないで欲しいよ。
ダメダメ。
早く仕上げないと。
えっと、トッピングのサンタとトナカイの砂糖菓子を乗せて。
それから、雪に見立てたブラウンシュガーを…………
パラパラと……
あれ、なんか、ムズムズ……。



