「うん。キンモクセイの花言葉だよ」 「え? ああ、花、花言葉ね。そっか、初恋……へえ」 び、びっくりした。 いきなりそんな事言うから何事かと思ったじゃん。 何食わぬ顔で、ニコニコしながらそう言った響は「なんでだろーね」って笑う。 着崩したブレザーに手を突っ込んで、響は首を傾げた。 「どうかした?」 「んーん。初恋なんてロマンチックだなぁって」 体を折り曲げて、あたしを覗き込む響から視線を外した。 来た道を引き返す途中に、あの箱庭の花壇が目に入った。 あ……。 「わぁ!」