回された腕に、力がこもる。
「……」
「……」
ただ黙ってあたしを見つめる響。
少しだけ傾いたその顔から目が逸らせない。
ドクン
ドクン
俄かに近づく距離。
……ああ。
なんでかな?
なんであたし達、今こうなってるんだっけ?
なんで響はあたしを見つめてるんだっけ?
なんで……。
体は固まって動けないし。
息だってまともに出来ていないのに、頭の中だけはしっかり働いてて。
今の状況をなんとか理解したくて。
だけど考えても考えても全然響の考えてる事がわからなくて。
見つめ合ったまま
一体どれくらいたったんだろう?
うまく息が出来なくて、心拍数はどんどん加速する。
響のやわらかな前髪が、ふわりとあたしの額に落ちる。
そっと顔を傾けて、あたしの耳にその手が触れた。
ドクン!
ああ――。
もう、ダメです。
そして…………。