ダンデライオン~春、キミに恋をする~



「ところでさ、成田になにしよーとしてたの?」

「へっ!?」



え、え?
なんでそれを!?


「そ、それも……み、み……見て……」

「当たり前じゃーん。あたしの席、どこだと思ってんのよ」



口をパクパクさせて動揺してるあたしに、自信に満ちた笑みを見せる沙耶。


そ……そうだ。
沙耶の席はあたしの斜め後ろ。


「あはは。黒板見てんだから、ぜーんぶシィのやること見えるっつのぉ」

「……そ、そうなんだ……」


気をつけなきゃ……。
今日みたくあたしが理性と戦ってるのを、沙耶にからかわれたんじゃたまんないもん。

沙耶が何かに気づいて、ツンツンと脇を小突いた。



「あ、ほら。来たよ」

「?」



沙耶の視線の先を追う。

たくさんの生徒の波の向こうから、見覚えのある茶色の髪が見えた。



「あ」