「あはははっ。
もお、シィってばなにしてくれてんのよー。 あれはマジ百面相だった…………っあははは」
「わっ……笑いすぎでしょ。てゆか、見てたの?」
下駄箱の前で、人目もはばからずお腹を抱えて笑ってるのは、もちろん親友の沙耶。
その隣でのんちゃんとゆっこはうんうんと相槌をうつ。
「それにしても、ショウちゃん恐かったよねぇ」
「うん。ちょーー恐かった。 だけど、最後の“ポン”にキュンと来ちゃったあ」
2人は両手を組んで乙女のポーズをして見せた。
「……あのね」
思わず「はあ」ってため息をついた。
うーん。 確かにショウちゃんはあーやって怒るけど。
『前に出て、この問題解けー』とか言うのはやんないかも。
ショウちゃんの授業は楽しいってもっぱらの評判なのだ。
あたしもショウちゃんの時に注意受けたの初めて。
ボーーーっとしてるのは、毎回のことなんだけどさ。
……うう。不覚!
思い出しただけでも恥ずかしい。
また赤くなる顔を両手で抑えたあたしに、沙耶が不意に顔を近づけた。



