「もう大丈夫。ありがと」
そう言ってあたしは悠弥から離れた。
「俺と付き合えよ!」
え?
俺とってことは悠弥と?
悠弥のことが好きな人は、
何百人といるんだよ?
この学校だけじゃない。
周りの学校にもファンいるんだよ?
それでもあたしを選んでくれるの?
「いや?」
「嫌じゃないよ?でも、悠弥のこと
好きな人いっぱいいるのに、
あたしなんかでいいのかなって
思っちゃって…。」
「莉子だから好きなんだよ?」
ありがとう…。
とても嬉しいよ。
初めてだよ、こんな気持ち。
これが恋なんだね…。
なんか恋って楽しいね。
「うん、ありがとう」
そう言うと優しくキスをしてきた。
あたしにはこっちのキスがいい。
甘くて深いキスがいい。
悠弥だからいいのかな?
考えていると唇が離れた。
「帰んぞ」
そう言って先にすたすたと
歩いて行ってしまった。
そんな大きな背中にも、
恋をしちゃったんだね。

