十年前、夏。

私はポストの前にいた。
沢山の原稿用紙が入った封筒を投函して隣の彼と祈りを捧げる。
どうか大賞に選ばれますように。と。


―失踪―
著:雪野はな
(安齋ゆき/高三)

そう表紙にかかれた小説に夢をたくして。