「行ってない…」
「どうして?
お兄ちゃんも言ってたけど
ちゃんと治療すれば可能性はあるらしいよ。
何もしないで諦めるなんてダメだよ」
「うん…」
智可の言う通りだ…
でも、なぜかその気になれない。
聖斗が居るから智可も気を使ってくれたんだろう
直ぐに話題が変わった。
それから1時間ほどお喋りして
私たちはファミレスを出る。
車に乗ろうとしてる上杉君に声を掛け
駆け寄ると
私はトートバックから紙袋を取り出し
彼に差し出した。
「これは?」
「800万入ってる。
これを優斗が借りた業者の人に渡して欲しいの」
「何言ってんだ。
払う必要は無いって説明したろ?」
「ダメ…
やっぱり借りた物は返さないと…
元金は800万だったでしょ?
これさえ返せば
優斗に何かされること無いよね?」
「美羅…お前ってヤツは…
相変わらず人のことばかり心配してんだな」
上杉君が仕方ないなって顔で
それを受け取る。
「ホントにいいんだな?」
「うん、お願いします」
私が頭を下げると
恵美里がやって来て
上杉君に「送って」とか言ってる。
「美羅、聖斗君が機嫌悪そうな顔してたよ。
ほら、行った!行った!」
恵美里に追い返され
聖斗の元に戻ると
ホントに不機嫌な顔してる。
「行くぞ」
「あ、うん」
智可に手を振り、聖斗の車に乗り込む。
「アイツと何話してた?」
「優斗のこと…
まだちゃんとお礼言ってなかったから…」
「ふーん…
悪いヤツじゃねぇのは分かったけど
この先、2人っきりで会うのはやめろよ」
「えっ?
聖斗、それって…嫉妬?」
なんか、ちょっぴり嬉しかったりする。
「そんなんじゃねぇよ!」
「うそだぁー!!聖斗ったら…可愛い」
ボコッ…
「痛っつ!!
もう!!叩くことないでしょ」
頬を膨らませ聖斗を見上げると
やけに真剣な顔してる…
「それより…
智可と話してた"治療"って、なんのことだよ?」
「……!!」


