「はぁ?
なんで俺が帰らなきゃいけねーんだよ!」
「もう!いい加減にしなさいよ。
いつまでも意地張ってるんじゃないの!
理絵さんも瑠菜も可哀想でしょ?」
2人共、一歩も引かないものだから
言い合いは段々エスカレートしてく
「そんなに帰りたくないなら
理由を言いなさい!!
のらりくらりと誤魔化して
男らしくないわよ!聖斗!」
「な、いつ俺が、のらりくらりと
誤魔化したんだよ!」
私と伯父さんはオロオロするばかり…
すると、理絵さんが
涙声で聖斗と伯母さんの間に割って入った。
「やめて下さい。お義母さん…
聖ちゃんが私の所に戻って来たくないのは
ちゃんと理由があるんです」
「えっ?なんなの?理絵さん…」
「…それは…」
「それは?」
理絵さんが涙を拭うフリをして
私と聖斗をチラッと見た。
まさか…理絵さん…
あのことを伯母さんに言うつもりじゃあ…
背筋に冷たいモノが走る
「聖ちゃんには、好きな人が居るんです。
だから、もう私の所には戻りたくないんですよ…
私や瑠菜より
その人の方がいいみたいで…」
まるで悲劇のヒロインみたいに
項垂れ、泣きだす理絵さん
これがお芝居だってことは
伯母さんには見抜けないよね…
そして、伯母さんの体が小刻みに震えだしたと思ったら
突然、立ち上がり
聖斗の頬を平手打ちした。
「聖斗!!
あんたって子は…
好きな人が出来た?
そんなの、私は絶対許しませんからね!!
聖斗が、こんなに女にだらしない子だったなんて…
私、わた…し…うぅっ…」
「伯母さん?」
真っ青な顔をした伯母さんが
胸を押さえうずくまる。
「お袋…どうした?」
「ハァ…ハァ…苦しい…」
「いかん!狭心症の発作だ!
聖斗、救急車を呼べ!」
伯父さんの焦った叫び声が響く中
私は身動き一つ出来なかった…


