「あぁ、まあ、予想はしてたけど
理絵ちゃんはあんな性格だから
敵も多かったみたいでね…
他の女の子の客を横取りしたりして
結構、モメてたみたいだ。
理絵ちゃんの話しをチラッとしたとたん
女の子たちが食い付いてきてね
ベラベラ喋ってくれたよ」
「どんなこと?」
「うん、ほとんどが店での態度が悪いとかだったけど
皆が口を揃えて言ったことが
気になってね…」
雅史さんは、少し言い辛そうに
咳払いをする。
「何よ!お兄ちゃん!
勿体ぶらないで教えてよ」
智可が体を乗り出し
雅史さんの服の袖を引っ張ると
雅史さんは
身を屈め囁く様な声で…
「…男…居るみたいだってさ…」
と、険しい目をして私を見た。
「お…とこ?」
「あぁ、なんでも、ほぼ毎日店に来て
理絵ちゃんを指名してたらしい。
どうも、その男ってぇのは
昔からの知り合いみたいで
時々、源氏名じゃなく"理絵ちゃん"って呼んで
彼女を怒らせてたそうだよ」
「でも、それだけじゃ
理絵さんと男女の関係かなんて
分かんないじゃない」
すかさず智可が、そう言うと
雅史さんは怪訝な顔をして
智可の頭をペチンと叩く。
「最後まで話し聞けよ。
いいか?その男はな!
瑠菜に会わせてくれって
理絵ちゃんに頼んでたらしい…
理絵ちゃんが断ると
ちゃんと調べたのか?って
何度も聞いてたそうだ」
「それって…」
良からぬ想像が
頭の中を駆け巡る。
「そんな…うそだよ…
あんなに聖斗のことが好きな理絵さんが
そんなこと…」
「好きだからこそだよ…
聖斗のことが好きな理絵ちゃんだから
真実を隠したい…
そう思ってたとしたら?」
そんな突拍子もない話しを
真顔で淡々と話す雅史さんに
違和感を覚える。
「そんなの…信じらんないよ…」


