急かす様に、何度も鳴らされるチャイム
でも、私は玄関のドアを見つめるだけで
動けない…
「誰か来たわよ。出れば?」
「あ…、いいの。
こんな時間に来るのは
どうせ、何かの勧誘の人だよ…
無視するのが一番」
と、取り繕ろうも
理絵さんの不信感を拭いさることは
到底、無理
「このマンションは、オートロックよ。
ここまで勧誘の人が上がって来れる訳ないでしょ。
アンタが出ないなら
私が出てあげる」
私の制止を振り切り
理絵さんは早足に玄関へ…
「やめて!!理絵さん」
カチャ…
「美羅、何してんだよ。
サッサと開けろ…よ…
り、理絵…」
最悪だ…
聖斗の顔が引きつってる
「なんで理絵が居る?」
「あら?聖ちゃんこそ
お昼休みに、わざわざ何しに来たの?
それも、自分の部屋じゃなく
美羅ちゃんの部屋に…」
理絵さんの質問に
答えることが出来ない聖斗
「私が居ない間に、こうやって会ってたの?」
「それは…」
このままじゃダメ…
なんとかしないと…
「理絵さん、違うの!!
話しを聞いて!!」
咄嗟に、そう叫んでいたけど
上手い言い訳が思い浮かんだワケじゃない。
「美羅ちゃんは黙っててくれる?
これは夫婦の問題なの!
聖ちゃん、中に入って
ゆっくり話ししましょうよ」
"夫婦の問題"…
その、重みのある言葉に、何も言えなくなってしまった。
「分かった」
聖斗の目が険しく光る。
もしかして…聖斗、離婚話しする気じゃあ…
予想外の展開に
私の心は大きく乱れる。
まだ心の準備が出来てないのに…
優斗も帰って来てないのに…
聖斗…
どうするつもり?


