ギリギリの所で踏み止まった私たち
でも、知ってしまった…
お互い、まだ愛していることを…
知ってしまったら
益々、聖斗が恋しくて
心乱れ平静では居られない。
こんなに近くに居るのに…
私たちの間には
乗り越えることが出来ない
大きな壁が立ちはだかっている。
妻…そして、夫という立場が
絶対的な境界線となり
私たちを引き離す。
そして
あの日から1週間ほど経った日の夜
優斗と夕食を食べていると
優斗の携帯が鳴った。
ディスプレイを確認すること無く
携帯に出た優斗
彼の笑顔が、一瞬にして凍りついた様に見えた。
慌てて立ち上がると
小声で話しながらベランダへと向かい
中々、戻ってこない。
誰からの電話だろう?
やっと、戻って来た優斗
冷たい夜風に吹かれたせいか
少し震えてる…
「優斗?なんかあった?」
「…いや、なんでもない」
優斗はそう言ったけど
彼は、明らかに動揺してた。
でも、それがなんなのか
聞くことが出来なかった。
この時を境に
優斗は、余り笑わなくり
常に何かを考えている様だった。
「…でしょ!優斗」
「えっ?何?」
「聞いてなかったの?」
「…ごめん。なんて言った?」
どうしちゃったの?優斗…
「今日は優斗の誕生日だねって言ったんだよ…」
「あ、あぁ…そうか…
そうだったな…」
「夕食は何がいい?
なんなら、外食にする?」
「美羅に任せるよ…」
まるで上の空
心ここに有らずという感じで
出勤して行った優斗
この日
優斗は、帰っては来なかった…


